
研究開発
私たちが取り組んでいる研究開発の一部をご紹介します
●ハイドロゲルビーズによる流路を持つスフェロイドの開発
細胞を三次元的に培養する事で、平面培養と比べて生体に近い反応を得る事が期待されている
しかし、例えばスフェロイドの場合、通常細胞のみで凝集するため、スフェロイド内部における物質交換効率が低下し、
中心部に近い細胞ほど壊死し易いとされている
ここで、我々はメチルセルロース(MC)法により、
細胞とハイドロゲルビーズを1対1で混合した
流路を持つスフェロイドの開発を進め製作することに成功した
流路の有効性を確かめるため、ヒト肝細胞癌細胞株(Huh-7)と
ハイドロゲルビーズを用いたスフェロイドを作製し、薬剤応答性の評価を実施した

■薬剤応答性評価1
【方法】
・MC法により、細胞だけのスフェロイドと、細胞とハイドロゲルビーズの混合比を1:1に調整したハイドロゲルビーズ入り
スフェロイドを作製
・それぞれのスフェロイドを容器に入れ、薬剤に暴露
・1日後、LIVE/DEAD染色を実施し、共焦点顕微鏡による画像から、画像処理を用いて定量化
【条件】
・薬剤暴露条件
①フルタミド 600µM
②マイトマイシンC 100µM
・スフェロイド構成
・使用細胞:ヒト肝細胞癌細胞株 Huh-7
・細胞数とビーズ数
・ビーズ無スフェロイド:細胞数2000
・ビーズ有スフェロイド:細胞数/ビーズ数2000
【結果】
・ビーズ無しスフェロイドと比較し、
ビーズ有りスフェロイドで高い死細胞率の値を示した
(フルタミドで約30%、マイトマイシンCで約10%)
・フルタミドに於いて統計的な有意差が見られた

■薬剤応答性評価2
【方法】
・MC法により、細胞だけのスフェロイドと、細胞とハイドロゲルビーズの混合比を1:1に調整したハイドロゲルビーズ入り
スフェロイドを作製
・それぞれのスフェロイドを容器に入れ、薬剤に暴露
・1日後、培地の上清を採取してLDH測定を実施
【条件】
・薬剤暴露条件
・マイトマイシンC 0、10、100(µM)
・スフェロイド構成
・使用細胞:ヒト肝細胞癌細胞株 Huh-7
・細胞数とビーズ数
・ビーズ無しスフェロイド:細胞数2000
・ビーズ有りスフェロイド:細胞数/ビーズ数2000
【結果】
・ビーズ無しスフェロイドと比較し、
ビーズ有りスフェロイドで高い死細胞率の値を示した(@100µM時)
・統計的な有意差が見られた(@100µM時)
尚、本開発成果は、日本動物実験代替法学会 第34回大会に於いて大会長特別賞を受賞

●メチルセルロース(MC)法の応用による、新たな立体凝集体の開発Ⅰ
■メチルセルロース(MC)へ一定のピッチで吐出
【方法】
MCへの打ち込みピッチを凡そスフェロイド直径の2倍程度とし、
吐出を行った
【結果】
時間経過と共に隣り合うスフェロイドが融合し、
ファイバー形状の細胞凝集体の製作に成功

●メチルセルロース(MC)法の応用による、新たな立体凝集体の開発Ⅱ
■メチルセルロース(MC)への吐出パラメータを調整
【方法】
MCへの吐出パラメータを調整
【結果】
吐出パラメータを調整する事で、スフェロイド(球体)とは異なるリング形状の細胞凝集体の製作に成功
このリング形状とスフェロイドにつき、培養毎のDNA濃度を測定したところ、培養日数14日で有意差を確認した
